大会によせて

皆様へ。

日本音楽療法学会 第20回近畿学術大会 
大会長 那須貴之

 第20回近畿学術大会にご参加くださった皆様を歓迎するとともに、感謝申し上げます。本大会の企画は、大会開催時期が新型コロナウイルス感染状況の判断がつかない状況において、Web開催に早々に舵を切りスタートしました。そしてWeb開催であることの強みを生かすべく、「音楽療法の不易流行」というテーマの"ドキュメント番組"を作るつもりで大会実行委員一同が取り組みました。

 新型コロナウイルス感染拡大は社会に大きな影響を及ぼし続けています。多くの人命も奪いました。人と会うこと、旅行、エンターテインメントは制限され、経済的にも打撃を与えています。音楽療法においては"歌うことはリスク"として、多くのセッションが休止、もしくは失われ、音楽療法士としての仕事が脅かされる事態ともなりました。今まで当たり前と思っていたことは、当たり前ではなくなったかのようです。

 このように"あり続けるもの"と思っている事柄は無常であり、同じところに留まってはいません。常に動き、変化し続けています。では音楽療法はどうなのだろう。それを考えるのが今回の大会テーマである「音楽療法の不易流行」です。きっと音楽療法は変わり続けているはずです、しかし変わらないこともあるはずです。では音楽療法士はどうだろうか、きっと変わり続けていることでしょう。しかし変わらないこともあるでしょう。

 くしくも新型コロナウイルス感染拡大によって多くの新しい価値観や生活様式も生まれ、定着しつつあります。インターネットはその新しい時代を支える根幹ともなっています。テレワーク、オンライン会議はもともとあった言葉ではありますが、こんなに日常生活で活用するのは初めてのことだと思います。オンラインセッションという言葉を、こんなに目にするのは初めてです。

 本大会では音楽療法に長年関わってきた諸先輩から若手、経営者から直接お話を聴きました。もちろん「音楽療法の不易流行」を考えるためです。なぜ音楽療法士になったのか、なぜ音楽療法士でありつづけるのか、どんな「もがき」や「葛藤」、そして「よろこび」があったのか、言い換えるならば変わってきたこと、変わらないことがあふれています。大会では、このような動画を盛りだくさんご用意いたしました。さらには、音楽療法で関わった当事者からもお話をお聴きしました。当事者として音楽療法をどう受け取ったのか、ご自身の言葉で語っていただきました。これらの動画は新しい理論や知識、技術をお伝えするものではないかもしれません。しかし、私たちが音楽療法士であり続けるためのエネルギーに満ちています。 

 この文章を書いている今(2022年3月)も、予断の許さない状況が続いております。たとえ時代や価値観は変わったとしても、お互いに自由に会えることに喜びを感じるのは変わらないことだと思っています。その日が戻ってくる時を待ち望みつつ、「大会によせて」の文章とさせていただきます。


日本音楽療法学会近畿支部

支部長 鈴木暁子

 約400名の皆さまに全国からご参加をいただき、第20回近畿学術大会も、いよいよ佳境にさしかかってまいりました。今大会は、実行委員になるのが初めてという方が多いということもあるのでしょうか、フレッシュな発想に基づく魅力的な企画満載となりました。

 実のところ、内容があまりに盛りだくさんなので、会期中に全ての研究発表や企画と講習を視聴できるだろうかと、少々不安を感じている私ですが、すきま時間も活用して、もれなく堪能しようと意気込んでおります。参加を申し込まれた皆さまも、実行委員会の魂のこもった大会を隅から隅までお楽しみいただき、多くの学びを得ていただければと願っております。


日本音楽療法学会第20回近畿学術大会

実行委員長 北脇 歩

 不易流行とは「根本は1つであり、古き新しきのどちらも無くてはならないもの」つまり「両者があってこそ」と伝えています。

 音楽療法において、これは経験年数や新旧方法論での枠組みそのものに焦点は当たっておらず、たった1つの本質を中心に皆が手を取り合うことへの"希望"の言葉であり、また全ての音楽療法士に対する"問い"ではないかと考えさせられます。決して変わるべきでない臨床そのものに対する本質とは何か、そしてそれを中心として存在するあらゆる背景の音楽療法士が互いを受け入れ手を取り合うこと、それらを常に問われ続けているのではないでしょうか。

 本大会運営には諸先輩方はもちろんのこと、若い方や音楽療法を学び目指す学生がこれまでになく多く関わってくださっています。Web開催という形式ではありながらも、変わるべきでない音楽療法における本質を軸に、本当に多くの方にご参加いただいております。さまざまな想いや体験をそれぞれの視点で共有できる、このような素晴らしい機会を持たせていただけることを大変感慨深く思います。参加くださっている皆様のおかげです。心より御礼申し上げます。

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